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 ■2月24日開催、全国パック連主催セミナーの概要


「飲料容器のこれから・・・びんもパックもしっかり再利用」

― 平成17年容リ法見直しに向けて ―


現在、環境省において飲料容器に関するLCA(ライフサイクル・アセスメント)の調査研究が進められていること、また容器包装リサイクル施行10年目での見直しに向け、本格的な検討が始まろうとしていることを踏まえ、特に牛乳パックとリターナブルびんのリサイクルの現状や課題について学習する目的で実施しました。
最初に全国パック連の平井代表より、北米の紙パック原紙製造メーカーウェアーハウザー社の視察報告を行った後、セミナーに入りました。

まず、環境省リサイクル推進室の藤井康弘室長から、
「飲料用容器LCA調査事業の経緯と容リ法見直しについて」報告をいただきました。
2002年度から3年計画で進められている容器包装LCA調査について、「現段階において、リサイクルの促進がおおむね環境負荷低減に結びつくことは確認されている」と成果を挙げるとともに、「なかなか充分なデータが集まらない」「特に異なる容器間でどの容器が環境面でいちばん優れているのかといったことを比較するのは、非常に難しい」と説明。容器包装リサイクル法の見直しについて、自治体と事業者の負担割合をどうするのかといった点は当然議論のテーマになってくるとの見方を示しました。

次に、全国牛乳容器環境協議会環境委員会専門委員の長谷川浩氏が、
「紙パックのLCA及びリサイクル促進の取り組みについて」 報告しました。
長谷川氏は紙パックのLCAについて、「現時点で、リサイクル率が上がるほど全体として環境負荷の割合は低減されることは確実と言える」と説明。ただ、1リットルの屋根型パックと小型のレンガ型パックではその内容に大きな違いがあり、これは、容器に占める紙とプラスチックの成分比の違いが大きく影響しているとのこと。また、「紙パックはライフサイクルの中でも、特に原料製造の環境負荷が占める割合が高いことも判明した」と述べ、製造工程の合理化などを課題に掲げました。

次に、びん再使用ネットワーク事務局の山本義美氏からは、
「リターナブルびん普及への取り組みについて」
報告がありました。
びん再使用ネットワークは、規格を統一した超軽量Rびんを生協の商品に導入し、現在、全国の6生協で合計150万人がRびんを利用し、年間1500万本を供給しています。重量比回収率は、この取り組みが始まった1994年は47%、現在は78.6%まで向上しているとのこと。LCAでもリターナブル容器の優位性は確認され、もし現在の飲料容器がすべてリターナブルびんに置き換わったとしたらCO2排出量は78万トン削減されるという試算も示しました。しかしながら、現在の法律では、分別収集や中間処理を自治体が担っているため、ワンウェイびんをリサイクルした方が安くつく仕組みになっており、「リユースとリサイクルが同じ土俵に乗っていないのが最大の問題」 ①収集・分別・保管費を製品価格に含める  ②3R優先順位を推進する手法の制度化 の2点をが見直しのポイントであると説明しました。

会場へも意見を求めたところ、
多様な容器を扱っている明治乳業から「ペットボトルも顧客から支持されている面もあり、それぞれの容器に特長がある。総合食品メーカーとしては、LCAの面だけでいずれかの容器に統一することは難しい」。大塚製薬も、「設計の段階からできるだけ環境負荷がかからないように考えたいが、容器はトータルな商品企画の中で決まるものであり、場合によっては環境面以外の要素を優先することもあり得る」などの意見が出され、販売面と環境面をクロスさせる商品作りの難しさをどう克服していくかは、私たち消費者のライフスタイルにゆだねられているように思いました。


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