packren-news  北米ペーパーボードメーカー「ウェアーハウザー社」社有林視察報告2

ウェアーハウザー社の環境への取り組み

ウェアーハウザー社の環境に対する取り組みもまた徹底されていました。

魚類生息地 (山の河川や流域沿い)の水質保全、野生動植物生息地(森に生息している猛禽類、エルク、コヨーテ、山猫など)の保全。木々が育つ土壌・動植物の種の多様性として文化的、歴史的に貴重なエリアの保全。 具体的には伐採時に、動物が逃げ込めるためにリンクとリンクの間の山林を残す、猛禽類などの止まり木を残す、小川近辺の森林は残すなど、皆伐は行っていません。またユニークサイトといって、湿原や考古学的に貴重な場所、先住民の生活エリアなどは一切伐採を行っていません。 林道についても鮭がのぼってくる川を阻止しないよう橋をかけたり、植林の際には、土壌を配慮し同じ種類の連作を行わないなど、自然の生態に配慮するためのその徹底した取り組みや考え方に、「度肝を抜いた!」というのが率直な感想でした。

 

 

不細工だけど子だくさん!種子採取場と森の畑、育苗場

山林経営の上で重要なことは、安定的な供給量を将来的にずっと保っていくことですが、そのために「成長が早く、病気に強く、まっすぐで節目が残りにくい、さらに強度のある繊維の品質も良い木」を育てることが必要となってきます。 ウェアーハウザーでは、このような多くの条件をクリアするための種をつくるため、長年研究を積み重ねています。種子採取場を訪れると、そこには少々不格好な木が植えられ、所々切り株となっていました。

これらは山からのサンプルで取った天然木を親木とし、接ぎ木し交配させ品種改良を行ったもので、年間平均7000個もの松ぼっくりの実をつける優秀な母木達でした。 木の幹を見ると所々傷がつけられていて、これは適度な刺激を与えることで、種を残そうと母木がたくさん実をつけることから、2年ごとに筋目を入れたり、ホルモン注入を行うとのことでした。切り株となっているのは、条件を満たさなかった木で即、伐採されたわけです。 「優秀で強いものが生き残り、弱いものは排除される」人間社会にも相通じるものがあると、苦笑しながらの見学でした。

ここで採取された種は、次に育苗場に植えられます。1+0は種を植えて1年。1+1はそれを植え替えて1年経過した苗。また2+0は種を植えてそのまま2年経過した苗など、苗の種類を数字で表しています。1+1は他種との競争力が強い、2+0は他種がないところに適している、2+1は砂漠地など自然環境の厳しいところに適すといったように、植林地の状況に対応した種類表示でもあるわけです。 ここマイマ育苗場では5億本以上の苗木を生産していて、約半分は自社の植林に、半分は他の大手製紙メーカーや山主に販売されています。

 

広大な土地で育てられている苗木。ここは森の畑・Mima育苗場

 

 

 

 

 

植林地の様子。写真右の木はフクロウなどが餌をとるための止まり木として残してある。後の木々は動物達が逃げ込むエリア

 

 

種子採取場。チルチルミチルに出てくる木のおばけのような格好だが、質のいい種をつける優秀なお母さんたち

 

たくさんの実をつける母木

 

刺激を与えるため傷つけられた幹

 


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